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レポート パルシステム組合員さんと考える気候変動時代の未来




今回はこれまで何度かワークショップをさせていただいているパルシステム茨城栃木の組合員さんと、気候変動を楽しく、けれど真剣に考える会を開いてきました。

テーマは、次の2つです。

1 地球温暖化と気候変動がわかるようになること

2 どんな未来になったらいいか、みんなで考える。


小学2年生から80歳までの、とても幅広い年齢層で実施してきました!気候変動は長期にわたって少しずつ明らかになってくる課題です。けれど、世代間で話し合いをすると、お互いに見えている景色の違いがとても顕著で面白いディスカッションでした。


おじいちゃんおばあちゃんが見ている気候 子どもたちの見ている気候

会場となった土浦は、平野部の農村だった地域です。現在は東京までのアクセスの良さから、住宅地も多いですが、農業を営んでいるご家庭も多い土地柄。そんなところで長く暮らしてきた人から見た気候の変化を感じるポイントは「雑草」

今の雑草は外来種がとても多くて、昔の草原とは全く違うそうです。私はこの土地の出身ではないので、よくわからないのですが、そういえば、セイタカアワダチソウはどこでも見かけるものの、もとはアメリカの植物。これが広がると、日本の在来植物が駆逐されてしまうそう。たしか、日本独自のタンポポが減ってしまったと聞いたことがあります。


一方、いまの子供たちは、昔のようなエアコンなしの夏休みは想像できないようです。小学生は、夏のプールの授業は気温が高いと中止になるそう!昔は晴れていても水温が27℃以下だとプールは中止になって「えーーーー!」と言っていたのに(私だけ?)。


それぞれの世代が考える未来予想図

こんなに違った前提をお持ちのみなさんが、気候変動が進む将来に向けて、どんな取り組みをしたいかを考えたとき、世代によって意見が分かれました。

世代が上の人たちは、物を大切に、を中心に、現在の社会を再構築することを考えていました。もしかしたら、物がない時代を生きてきた知恵のある人たちは、私たちの生活の無駄が見えているのかもしれません。





一方、小学生は、技術革新を期待しています。

◆空気中の二酸化炭素を集めて、山火事の消火器にする

 →気候変動で山火事が増えていますが、現在の消火剤は化学薬品が多く使われていて、消火作業の後に植物が再生しにくい環境を作ってしまいます。でも、二酸化炭素で火を消せば、化学薬品を作る過程でのCO2排出が削減できるうえ、環境破壊も起こりませんね。


◆二酸化炭素をたくさん吸収する植物を開発する。

 →高温に耐える植物の開発は進んでいますが、二酸化炭素を多く吸収する植物の開発は私は聞いたことがないです。二酸化炭素を大気から取り除いてそれを地中に埋める技術はありますが、それはなんとなく自然の摂理に反する気がします。私は新しい植物に期待したいです!





そんなわけで、世代間の違いが現れた、とても面白いワークショップになりました。これまでの「物を大切にする文化」が、これからの「新しいテクノロジー」と合わさることで、気候変動の対策が進んだ明るい未来が待っているといいなと思いました。


このワークショップでは、新しく作成した「気候変動マスターカード」を使ってみました。まず、気候の仕組みを簡単に説明した後、皆さんでカードを並べてもらったところ、小学生のみなさんをはじめ全員正解!すばらしい結果を修められました。ワークショップを覗きに来てくださった気象研究所の先生も太鼓判を押していました。


気候変動マスターカード。42枚のイラストを並べると、気候の変化から社会への影響が一目でわかるように設計されています。


ワークショップでは、世界中の気候が変わるせいで、いろんな国で干ばつや災害が増えること、それによって農作物が安定して生産できない状況になりつつあることをお伝えしました。日本は食料自給率が37%ととても低いです。これに加えて、最近の円安傾向をみると、気候変動時代は海外から食料を輸入することが難しくなりそうです。


パルシステムさんは産地と提携して気候のリスクを生産者さんと消費者で分け合う仕組みを作っているそう。たとえば、時季外れのひょうで傷ついてしまったリンゴをジュースにして、組合員さんに購入してもらうことで、農家さんは収入を確保することができ、組合員さんはおいしいジュースが飲める、という好循環になっています。もちろん、生産物が安定して確保できることが、みんなにとって望ましいことですが、気候変動が進むと、そうもいっていられない。そこで、生産者さんと組合員さんが、これからの食料の需要と供給をどうするかを一緒に考えて仕組みを作っていくという考えがとても理にかなっています。


これは、ノーベル経済学賞を受賞したエレノア・オストロム博士の言う、コモンズのガバナンスにあてはまります。日本はもともと地域の人たちが有限の資源をできるだけ効率よく、長期にわたって利用する仕組みがありました。森林を守る入会などがその例です。ところが、高度成長期と行き過ぎた個人主義のために、このような仕組みが弱くなりつつあります。けれど、気候変動に強じんであるためには、コミュニティで資源を持続可能にする力が求められます。今回のワークショップで、パルシステム茨城栃木さんの支え合う力が一層強まっていたら、これに勝る喜びはありません。


9月の月末には、関西でワークショップを開催します。このワークショップはビジネスをされている方向けになりそうなので、アプローチを変えて設計し直しています。さてどうなるか?引き続きご報告していきます。


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